人工透析を受けることになると、さまざまわからないことが出てきます。「人工透析はどんな流れで進むの?」「透析をするときに受ける検査ってどのようなものがあるのか知りたい」と思っている方もいることでしょう。
当記事では、人工透析の流れや透析中の過ごし方や注意点をまとめるとともに、透析中に受ける検査内容について詳しく説明しています。
人工透析について情報を集めている方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
ここでは、人工透析の流れについて説明していきます。なお、クリニックによって準備するものが異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
透析が開始となる予定時間前に通院します。体温測定と受付をしてから、ロッカールームで着替えを済ませましょう。クリニックによっては着替えなくてよい場合もあるので、事前に確認しておくのが望ましいです。
予定時刻になったら透析室に入り、スタッフの指示にしたがって体重測定を行います。体内にたまった水分量を計算しなければならないため、毎回必ず測定しなくてはいけません。
体重測定が終わった後、ベッドに移動して穿刺を行います。患者が行う透析の条件によって穿刺針が異なり、穿刺部に痛みが伴う場合もあるので、痛みを軽減する麻酔テープを処方してもらえることがあります。気になる方は主治医に確認しておきましょう。
血圧測定を実施します。測定時に体調変化についても確認を行うので、体調で気になることがあれば遠慮せず伝えるようにしましょう。 必要に応じて医師の診察を行ってから透析開始となります。
開始後は、技士が機器のチェックを行ったり看護師による状態の聞き取りが行われたりすることになっています。
透析は4時間ほどかかるので、リラックスして過ごしましょう。おすすめの過ごし方について以下に記載しますので、チェックしてみてください。
安全に透析治療を受けるため、以下の点に注意する必要があります。
透析後、返血を行います。返血とは、ダイアライザーと血液回路にある血液を清潔な状態で体内に戻すことを指します。返血が完了した後、抜針を行って止血を確認するのが一連の流れです。
その後、血圧測定や状態確認を実施して、体重測定を行います。
透析治療が終了したら、更衣室で着替えをして帰宅となります。医療機関によっては送迎車を利用できるケースもあります。
人工透析ではどのような検査をするのかについて詳しく説明します。各検査の実施頻度は医療機関によって異なるので、主治医に確認しておくのが望ましいです。
人工透析を受ける場合、体内にたまった水分量を計算する必要があるので、透析前後の体重測定を必ず実施します。
基準体重(ドライウェイト)とは、透析後に到達している数値のことで、余分な水分が除去されている体重のことで、心胸比を増大させない体重を指します。透析を受ける方は腎機能が低下しているため、体重管理は非常に重要です。
透析を受けている方には糖尿病に罹患している方が多く、透析開始時点で血液の流れが良くなかったり、足の感覚が悪かったりするケースが見られます。このような状態で傷ができてしまうと全身にさまざまな影響を及ぼしてしまう可能性があることから、足の状態確認とフットケアを行うことが重要です。
患者の足の状態に応じて、透析中に足の洗浄や爪切り、保湿などを実施します。観察するポイントは以下の通りです。
ドライウエイトを決めるための補助検査として心胸比を用います。心胸比は、胸部レントゲン撮影を行って測定します。
心電図は不整脈や狭心症、心筋梗塞などを調べるもので、心エコーは心筋壁の厚さや心内腔の大きさなどをチェックする検査です。透析を受けている方は、基礎疾患に高血圧や糖尿病、高脂血症があり、動脈硬化がある方が多い傾向にあります。
透析に必要なシャントを作成する影響で、心臓に戻る血流量が増加して負荷がかかりやすいため、定期的な検査が必要です。
腹部エコーは、肝臓や胆嚢、脾臓、腎臓などの臓器における異常の早期発見に役立つ検査です。各臓器に腫瘍や炎症、脂肪肝、胆石、腎結石、膀胱結石などがないかチェックできます。
腎不全の状態になると、腎臓に数mm~数cmほどの嚢胞(のうほう)が見られるケースが多いです。この嚢胞はガン化することがあるため、検査で早期発見することが大切だと言われています。
透析中に注意が必要な合併症である「二次性副甲状腺機能亢進症」の疑いがあるケースでは、副甲状腺のエコー検査を実施し、副甲状腺の大きさなどをチェックします。
この合併症は、重症化してしまうと骨やミネラル代謝の異常を起こしやすいのが特徴です。そのため、血液中のリンやカルシウム値のコントロールを行ったり、治療薬で副甲状腺ホルモンの分泌を調整したりする必要があるのです。
人工透析を受ける場合、定期的に血液検査を行う必要があります。項目や頻度は医療機関によって異なるため、主治医に確認しておきましょう。ここでは、血液検査の項目について詳しく説明していきます。
項目 | 正常値 | コメント |
ナトリウム | 136~145mEq/l | ナトリウムとは食塩のことであり、体内の水分量と関わりが深いです。塩分を多く摂取すると喉が渇いてその分水分摂取するため、腎機能が低下している方の場合、血圧上昇やむくみなどが見られやすくなります。 |
カリウム | 3.5~5.0mEq/l | 血液中にカリウム量がどのくらいあるかを示す値です。健康な方の場合、摂取量と同量のカリウムが尿中に排泄されバランスが取れています。 透析を受けている方の血液中にカリウムが蓄積されると四肢や口唇などにしびれが生じたり、心臓の働きを妨げたりするリスクが高くなります。バナナや生野菜、豆類に多く含まれる物質です。 |
カルシウム | 8.5~10.3㎎/dl | 慢性腎不全になると、腎臓でリンの排泄やビタミンD3を活性化する機能が低下してしまいます。ビタミンD3の活性化が低下すると腸管からのCa吸収が低下します。慢性腎不全の人は血液中のカルシウムが低下し、Pが上昇することによって副甲状腺を刺激し、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を促進します。
長い間刺激され続けた副甲状腺は腫れ、血液中カルシウム値に関係なくPTHが過剰に分泌されるようになり、血中のCa濃度が必要以上に高くなってしまうことがあるのです。 |
無機リン酸 | 2.6~4.5㎎/dl | リンは生命を維持するために欠かせないミネラルの一種です。通常、血液中のリンの濃度は腎臓の働きによって一定に保たれています。しかし、腎機能低下によってリンが尿中に排泄されず、血中に蓄積して高リン血症を引き起こす可能性があります。すると、副甲状腺よりi-PTHと呼ばれるホルモンが過剰につくられ、骨がもろくなったり、血管の石灰化や動脈硬化を引き起こしたりするため注意が必要です。 |
マグネシウム | 1.8~2.5㎎/dl | 腎機能が低下すると、高マグネシウム血症と言われる状態になる可能性があります。高マグネシウム血症は軽度なら症状が見られませんが、重症化すると嘔吐、傾眠、筋脱力、徐脈などの症状が見られることがあります。 |
尿素窒素 | 9~20㎎/dl | 食事量を反映するデータの1つです。腎機能の指標にされていて、腎不全では値が上昇するのが特徴です。蛋白質を摂り過ぎたり透析不足だったり、ステロイドホルモンを内服したりすると上昇することがあります。逆に、蛋白質の摂取量が少な過ぎると、値が低くなることがあります。 |
クレアチニン | 男性0.8~1.2・女性0.5~0.9mg/dl | 尿素窒素と同様で腎機能の指標にされています。腎不全で上昇しますが、筋肉内で作られるため筋肉量が多いと上昇しやすいのが特徴です。初期の糖尿病性腎症や高齢女性の場合、腎機能に関係なく低値であるケースが多いです。透析を受けている方の場合は20mg/dlを超えるケースはなく、あまりにも高い場合は透析が不足している可能性があります。 |
尿酸 | 男性4.0~7.0・女性3.0~5.5㎎/dl | プリン体(レバーやアルコールなどに多い)の最終的な代謝物で、尿路結石や痛風の原因になります。腎不全の方では高値を示すことが多いです。 |
赤血球・ヘモグロビン | 赤血球:男性430~570万/μl、女370~500万/μl・ヘモグロビンHb:男性13.5~17.6g/dl、女性11.3~15.2g/dl | 貧血かどうかがわかる指標です。 透析を受けている方はエリスロポエチンという成分が欠乏するため、赤血球の生成不足による腎性貧血が多く見られます。赤血球に含まれるヘモグロビンは体内の組織に酸素を運ぶ役割をしているため、欠乏すると組織が酸素不足の状態に陥るのです。腎性貧血には、エリスロポエチン製剤などの薬物を用いることがあります。 |
鉄 | 鉄:男性59~161、女29~158μg/dl・フェリチン:男性10~190、女性5~80ng/ml | 腎機能が低下すると、エリスロポエチンという赤血球をつくる成分の分泌が不足するため鉄が欠乏しやすくなります。必要に応じて薬物療法を行います。 |
白血球 | 4,000~10,000/μl | 感染を防御する作用や免疫機構に関与しています。細菌感染症にかかると増加するのが特徴で、3,500以下などの低値の場合、血液疾患をはじめさまざまな病気の可能性を考える必要があります。 |
血小板 | 15~40x104μl | 血中の血小板がどのくらいか示す数値です。出血したときに止血する役割を担います。 |
GOT・GTP | 10~40IU/l・5~45IU/l | 肝機能をみるための一般的な指標となる検査項目です。B型肝炎やC型肝炎にかかると、GOT・GPTが高値を示します。透析を受けている方は健康な人よりもやや低値を示すことが多い傾向にあります。 |
アルカリフォスターゼ | 92~280IU/l | 肝臓や骨に異常所見のあるときに上昇しやすい指標です。 |
γ-GTP | 92~280IU/l | アルコール性肝障害があるかどうか調べる時などに測定します。 |
LDH | 230~460IU/l | 身体の組織が壊れると増える酵素のことです。心筋梗塞や肝炎、悪性腫瘍などで高値になるケースが多いです。 |
クレアチンキナーゼ | 男性50~190IU/l、女性35~170IU/l | エネルギー代謝を行う上で大切な反応を促す酵素のことです。心筋梗塞や脳血管障害などで高値を示し、甲状腺機能亢進症や慢性関節リウマチなどで低値になるケースが多いです。 |
総ビリルビン | 0.2~1.0mg/dl、間接0.7~0.8mg/dl、直接型0.3mg/dl以下 | 肝臓や胆道などの疾患にかかっていると高値を示します。血中のビリルビンが高値になると、眼瞼結膜や皮膚などが黄色を呈します。 |
コリンエステラーゼ | 男性203~450U、女性179~354U | 肝臓などにある酵素です。劇症肝炎や肝硬変で低値を示し、脂肪肝だと高値になりやすくなります。 |
アミラーゼ | 45~150U/dl | アミラーゼが異常高値のときは膵臓疾患が疑われますが、稀に唾液腺疾患のケースもあります。腎不全の場合、腎臓からの排泄障害により高値を呈するのが特徴です。 |
総コレステロール | 130~250mg/dl | 肝臓でつくられる脂肪成分のことです。食べ過ぎや運動不足、糖尿病、コレステロールの過剰摂取などで高値になり、低栄養や貧血では低値を示すことが多くなります。動脈硬化の危険因子として考えられている指標です。 |
中性脂肪 | 35~150mg/dl | 脂肪成分の1つで、男性は女性より高い傾向があります。食事中の脂質の量に関係しているため、多く摂取するほど高値になりやすいです。高値の場合は生活習慣が原因していることが多く、動脈硬化の危険因子です。 | HDLコレステロール | 基準値は年代や性別により異なる | HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑制する働きがあることで知られている物質です。善玉コレステロールとも呼ばれており、肝障害のある方や高中性脂肪のケースでは低値であることが多く、40㎎/dl以下ならカロリー制限や運動、禁煙などを実施する必要があります。 |
血清蛋白・アルブミン | 血清蛋白:6.7~8.3g/dlアルブミン:3.9g/dL以上 | 栄養状態の評価に用います。アルブミンは、低栄養や肝障害で低下しやすいのが特徴です。 |
血糖値 | 70~110mg/dl | 血糖値は食事摂取の仕方によって変動しやすいのが特徴です。12時間以上絶食した状態で測定したものを空腹時血糖と呼び、健康な方の場合110mg/dlを超えずに食後2時間で前値に戻ると言われています。 インスリンは腎臓でも分解されるため、腎不全の方ではインスリンの代謝・排泄が遅れるケースがあるのです。このようなことから、糖尿病で腎機能が悪化すると血糖コントロールが一時的に良くなったり、インスリン製剤や血糖降下薬の代謝・排泄が遅れることによって低血糖状態になったりするため、注意が必要です。 |
HbA1c | 4.3~5.8%;測定法による差があり | 血糖をコントロールしていくうえでの指標として用いられています。合併症を防ぐには血糖コントロールをすることが重要ですが、糖尿病では血糖値が変動しやすく、日常生活でたびたび測定するのは困難です。 そのため、HbA1cの測定を実施して、1~2ヶ月の血糖コントロール状態をチェックする必要があります。なお、合併症を防ぐためには7%以下に抑えることが重要です。 |
人工透析は日々の生活の中で、継続して治療を行う必要があります。
日々の生活の中でなるべくストレスの無いよう、上手に治療と付き合っていかなければなりません。
このサイトでは、東京都内の人工透析クリニック156院を調査しました。
仕事終わりに通院できるように駅から近く、夜間透析が受けられるクリニックを確認しておきましょう。
Googleで「人工透析 東京」と検索した際に出てきた、156院の人工透析クリニックを調査。その中で新宿・渋谷区内にあり、最寄り駅から徒歩1分圏内にある6院を選出。6院の中でも、夜間透析の最終開始受付時間がもっとも遅く、Googleの口コミ評価が高い(4.0以上)「渋谷笹塚HDクリニック」を紹介します。(2023年7月20日調査時点)
人工透析の最終受付時間は18:30と、都内でも夜遅くまで対応。月・水・金は、23:00まで夜間透析を受けられます。他の医療施設との医療連携もしており、合併症対策として栄養指導やフットケアにも注力。場所は京王線の笹塚駅から徒歩1分。新宿・渋谷近辺に勤めている人でも、無理なく通うことができるクリニックです。
渋谷笹塚HDクリニックの医院情報
所在地 | 東京都渋谷区笹塚1-30-3 ビラージュ笹塚Ⅲ 4F |
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アクセス | 京王線「笹塚駅」より徒歩1分 |
透析時間 | (月・水・金)8:30~14:30、14:00~23:00 (火・木・土)8:30~14:30 |
休診日 | 日曜 |
電話番号 | 0120-051-137(フリーダイヤル)、03-5738-1501 |
Googleで「人工透析 東京」と検索した際に出てきた、156院の人工透析クリニックを調査。その中で新橋駅もしくは、品川駅を最寄り駅とする人工透析クリニックを3院選出。3院の中でも夜間透析に対応し、唯一最寄り駅から徒歩1分の距離にある「品川腎クリニック」を紹介します。(2023年7月20日調査時点)
人工透析の最終受付時間は18:00となっており、休診日は日曜のみ。夜間透析は22:00まで行うことが可能です。透析開始から終了まで、医師が対応。全台オンラインHDFになっており、長時間透析はもちろん腹膜透析もできるようになっています。場所は山手線の品川駅から徒歩1分。品川駅港南口からエスカレーターを降りて、すぐの場所にあります。
品川腎クリニックの医院情報
所在地 | 東京都港区港南2-6-10 三矢ビル5F |
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アクセス | JR山手線「品川駅」より徒歩1分 |
透析開始時間 | (1クール)7:40~8:15、(2クール)12:30~13:00、(3クール)17:00~18:00 ※土曜は17:00~17:20 |
休診日 | 日曜 |
電話番号 | 03-3458-9801 |
Googleで「人工透析 東京」と検索した際に出てきた、156院の人工透析クリニックを調査。その中で夜間透析を行っており、赤羽駅を最寄りとする「望星赤羽クリニック」を紹介します。(2023年7月20日調査時点)
月・水・金は22:30まで、火・木・土は21:30まで夜間透析を行っている望星赤羽クリニック。メディカルソーシャルワーカーと呼ばれる、患者さんの不安に寄り添うスタッフが在籍。透析に関する精神的・経済的な不安を、気軽に相談できます。ベッドは69床(2023年7月20日調査時点)用意しており、可能な限り多くの人に対応できるよう環境が整えられています。
望星赤羽クリニックの医院情報
所在地 | 東京都北区赤羽2丁目11番3号 砂田ビル1~4F |
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アクセス | JR京浜東北線「赤羽駅」より徒歩6分 |
透析時間 | (月・水・金)9:00~14:30、16:00~22:30 (火・木・土)9:00~14:30、14:30~21:30 |
休診日 | 日曜 |
電話番号 | 03-3902-0255 |
Googleで「人工透析 東京」と検索した際に出てきた、156院の人工透析クリニックを調査。その中で夜間透析を行っており、池袋駅から徒歩1分の距離にある「新線池袋クリニック」を紹介します。(2023年7月20日調査時点)
夜間透析の最終受付は18:00まで、透析自体は22:30まで対応しており、土曜日も診療に対応。I-HDF(間歇補充型血液濾過透析)と呼ばれる、従来の透析システムよりも、毒素の除去効率が良いとされている機械が導入されています。無料のWi-Fiサービスも用意されているため、透析中も自由にインターネットを使うことが可能です。
新線池袋クリニックの医院情報
所在地 | 東京都豊島区西池袋1-10-10 東武アネックスビル4F |
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アクセス | JR山手線「池袋駅」より徒歩1分 |
診療時間 | (月~土)9:00~、13:30~、15:30~ |
休診日 | 日曜 |
電話番号 | 03-5911-1250 |
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