年々、人工透析治療を受ける患者さんは増加傾向にあります。患者さんが増え続けている原因として分かっていることは大きく2つ。糖尿病を代表とする生活習慣病の増加と、社会全体の高齢化です。
人工透析治療を受ける患者さんといえば、以前は「腎炎」の患者さんが大きく割合を占めていました。しかし、近年では糖尿病が原因となる「糖尿病腎症」の患者さんが最も多く、患者さんの数も増え続けているというのが現状です。
2型糖尿病は、肥満や運動不足、食事バランスの悪さが引き起こす生活習慣病と呼ばれる病気の1つ。人工透析治療が必要な患者さんは、同時に健康管理もしっかりと行わないと、健康維持や病状の改善が難しいとされています。
また、社会全体の高齢化が進み、透析治療の開始年齢が年々高くなっていることも患者さんが増えている理由です。そのため近年では、通院が困難な高齢者のための無料送迎サービスや、緊急時のバックアップ体制を整えた医療機関も増えてきています。
これらの現状を踏まえて、他の診療科や規模の違う病院との連携、介護サービスとの連携が強化され、患者さんを全面的にサポートする体制が重要視されています。
医療連携とは、かかりつけ医が中心となり、患者さんと他の医療機関をつなぐ役割を果たすことを言います。患者さんに専門的な検査や治療の必要性が出てきたときに、すぐに適切な医師を紹介できるよう環境を整えているのが、医療連携をおこなっている病院です。
紹介した後も病院同士で情報共有をおこない、患者さんにとって最適な治療の提供を目指します。
人工透析治療を受けている患者さんは、透析の治療と同時に、健康状態の維持のため生活習慣の見直しや全身状態の定期チェックをおこなっていくことが必要であるとされています。患者さんの全身状態を把握しておくためには、各専門分野の医師と、かかりつけ医との連携が欠かせません。
かかりつけ医が把握している患者さんの病歴、手術歴などを含めたデータは、他の分野の治療の際にとても重要な材料となるのです。
このように、医療機関同士の医療連携や情報共有は、患者さんに最適な治療を受けてもらうために必要です。患者さんにとってより良い治療方針を見つけるために、それぞれの医療機関の特性を活かしたチーム医療をつくるのは必要不可欠と言えます。
人工透析治療は通院しなければならない頻度が多く、拘束される時間も長い治療です。そのため、患者さんの生活においての人工透析治療は、大変負担がかかるものになります。
医療連携を行うことのメリットは、患者さんにより良い環境で健康を維持してもらうための提案が可能になるということです。
症状の度合い、状態、ライフスタイルは患者さん一人ひとり異なります。より専門的な治療が受けられる医療機関への紹介、通院が困難な患者さんに対しての入院施設への紹介など、患者さんに応じた提案はさまざまです。
高齢の患者さんにおいては老人ホームや介護サービスなどが医療機関と連携をとっているケースもあります。人工透析以外の必要な医療や介護が受けられる点もメリットと言えるでしょう。
また、合併症のリスクに対し、早期に発見・対応できるのも医療連携を行うことのメリットです。
人工透析治療を受けている場合、さまざまな合併症を引き起こしやすくなることが分かっています。緊急を要するものだと脳梗塞や心筋梗塞があります。また、高血圧や低血圧、感染症、貧血などの全身疾患の他、中には歯周病や口腔乾燥などを併発する患者さんも。
合併症のリスクに対し、チーム医療であたるため発見しやすくなります。
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